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9月24日(水) 2日目 野宿 (鴨の湯)

短足野良顔コーギー犬のシャカシャカに加え、車の音とヘッドライトで、結局ほとんど寝れないまま雨の朝が空けた。
雨は、シトシトと降り続いている。

5時半にはすっかり目が覚めてしまっていたので、昨日のおばさんが置いていってくれった水道栓を持ち、雨のなか顔を洗いに行った。
その後、昨日いただいたよもぎまんじゅうを2つありがたくいただき、小屋の中の掃き掃除をした。(正直、朝から甘いものはキツイな、とも思ったが、他に食べるものもない。食べてみると、美味しくて、体に力がみなぎるようだった。おばさん、重ね重ねありがとうございました。)
荷物を整え、ピロキから借りてきた自衛隊のポンチョをバックパックの上からスッポリかぶって、防水対策をし、6時過ぎに小屋を出発した。
おばさんに、会ってお礼を言いたかったが家もはっきり教えてもらっていなかったので、ノートをちぎってお礼を書き、水道栓と共に置いていった。
去る前に、小屋にありがとうございました、と一礼をする。
上坂の皆さん、ボランティアの皆さん、本当にありがとうございました!

さあ、今日は明日の難関、焼山寺に備えて11番付近までいくぞ!と意気込んで出発した。

6番へ向かう途中、雨の中集落内をてくてく歩いていくとしばらくして後ろからスクーターの音が聞こえてきた。
キッとその音が止まり、おじいさんが声をかけてきた。
「早いなー。昨日の小屋を覗いたら出た後やったけん、ここまで追ってきたよ。ちょっとお願いがあってね。」
違うことが後で分かるのだが、この時点では私はこのおじいさんを昨夜遅くまで小屋でしゃべっていたおじいさんだと思っていた。
だから(失礼なことではあるが、)ぶっきらぼうに、お話なら雨だし6番のお寺でお願いできませんか、と言ってしまった。
「ああ、そうだね。あそこには丁度休憩所もあるしね。じゃあ、先に行って待ってるよ。」
と、おじいさんはスクーターでゆっくり去っていった。

6番安楽寺前には、なるほど、立派な休憩所が建っていた。
そこに辿り着くと、おじいさんは既に中でベンチに腰掛けて待っていた。
「あー、ご苦労さん。雨じゃけん、大変じゃのう。」
おじいさんは、ゆっくりとしゃべりだした。
「実は、お願いがあっての…。…わしの娘の供養を、お願いできんじゃろか、と思っての。一人娘じゃったんじゃが、3年前に42歳で交通事故で死んでしまったんじゃ。これが、娘の写真じゃ。」
と、きれいに正装して椅子に座っている女の人のスナップ写真を私に渡してくれた。

あれ、昨日の晩のおじいさん、奥さんには逃げられたって言ってたけど、娘さんが亡くなったなんて話してたっけ?うーん、なんか胡散臭いなー。本当なのかなー。同じおじいさんだよね…?

なんてことを、写真をぼんやり見ながら、不謹慎ながら考えていた。
「若い女の子のお遍路さんを見かけたら、お願いしてるんじゃ。娘も、若い娘さんに供養してもらったほうが喜ぶじゃろうしのう。ここに、お賽銭が入っとるけん、これを使ってくれんか。」
と、ビニール袋に入った10円玉を10枚ほど渡された。

このあたりで、私のニブイ頭がカタン、カタンと動き出した。

あ、このおじいさん、八坂神社前で私に遍路小屋を教えてくれた親切なおじいさんの方だ!

「ほれ、炊いた栗も冷蔵庫にあったけん、持ってきた。冷たいままで申し訳ないけど、後で食べなさい。」
おじいさん違いだったことが分かると、急に今までのぶっきらぼうな態度が申し訳なくなった。

はい、一所懸命娘さんの供養をさせていただきます!、とおじいさんに誓った。

おじいさんは、その言葉を聞き、栗を私に渡すと、寂しそうな顔のまま、
「今晩は、11番藤井寺近くの鴨の湯に泊まるといいよ。温泉もあるし。気をつけてな。」
と言って、雨の中スクーターで帰っていった。
今までの私の態度が申し訳なくて、おじいさんの白く濁りかかった、遠くを見る目が悲しくて、おじいさんのスクーターが見えなくなるまで手を振った。

おじいさん、私しっかりやるからね。

はっ、私は経本すら持っていない!すぐにでも経本を買い、般若心経をお寺で唱えないといけない!と思い、急いで6番札所内へ向かった。

6番札所 安楽寺 5.3km(5番から)
求めている時ほど、欲しい物がない…マーフィーの法則通り、6番札所境内では経本が見つからなかった。仕方がないので、ご本尊の前で、自分のおばあちゃんのことをお祈りする前に、おじいさんの娘さんの御魂が安らぐようお祈りした。

7番札所 十楽寺 1.2km
ここのお寺でも経本は置いていなかった記憶がある。だが、この辺りで、雨が止んだ。

8番札所 熊谷寺 4.2km
このお寺は、仁王門がお寺からかなり離れた場所、高速道路を越えたすぐの辺りにある。
なかなか立派な仁王門で、素敵だった。
お寺の前には大きなアスファルトの駐車場があり、その手前にまた立派な納経所がある。
その前には休憩用のベンチが両側に沢山置いてあった。(熊谷寺さん、ありがとうございます。)
駐車場手前のベンチには、沢山の若い歩き遍路さんらしき人達と、今度は確かに件の小屋に遅くまで居座ったもう一人のおじいさんが座ってしゃべっていた。
私は、申し訳ないが、あのおじいさんが苦手なので、会釈だけして反対側の休憩ベンチに荷物を下ろし、今度こそ経本がありますように、と祈りながら本堂のほうへお参りに行った。

お参りから帰ってくると、香川出身の自転車で結願を終え、1番までお礼参りに向かっているというお兄さんがいた。お兄さんは特に先を急いでいないらしく、そこで20分くらいだらだら喋ることになった。
お兄さん曰く、遍路旅は、地元の人間とどれだけ関わるかが重要だ、とのことだった。
この時の私にはあまりピンとこなかったが、今ははっきりそうだと分かる。
「この旅で、いろんなヒントをもらったよ。帰ってそれを活かせるように、これからが頑張りどころだな…はは。」と、笑っていた。
それにしても、お兄さんはとにかく自分のことをしゃべるのに一生懸命だったので、私は最後のほうは本当に適当に相槌を打っていた。
今思えば、これが記念すべき『人の話を聞かないお遍路さん』第1号との遭遇だった。
しばらくするともう一人おじさんがやってきた。
これがチャンス、とばかりにお兄さんをおじさんに引渡し、私はトイレを借りにきれいな納経所へ入っていった。
トイレを済ませたところで、納経用カウンタの前に経本が販売されていたのを見つけたので、やったーとばかりに早速それを購入した。

9番札所 法輪寺 2.4km
ぽっかりそこだけ小さな森のようなお寺。
お遍路に出て、9番にして初めてきちんと般若心経を唱えた。
我が家は実家が真言宗なので、般若心経を唱えるのは別段苦労しなかったが、真言等はこの時点では唱えていなかった。
優しいおじいさんの娘さんの御魂の安らぎと、私のおばあちゃんの心へ光をお願いして終了。

集落内をしばらく歩き、10番札所へ向かうため、右に坂を曲がり少し歩くと左がわにうどん屋さんがあった。
その前を通ると、おばちゃん2人が
「10番は階段がきついから、ここにカバン置いて行きなさい~。」
と言ってくれたので、お言葉に甘えてバッグを置かせていただいた。
確かに10番札所は階段が多かった。
バッグを置かしてもらって大正解。
おばちゃん、ありがとうございました。

10番札所 切幡寺 3.8km
階段の横にスロープが設置してあって、足の弱い人でも上まで到着できるようにしてあったが、あえてここは階段で上る。
参拝を終わって、うどん屋さんにバッグを取りに行き御礼を言うと、
「あー、今ちょうどおはぎがあるから入ってらっしゃい。」
と誘われた。
今日はよほどのお餅日和なのだろう。
朝もよもぎ饅頭で、昼はおはぎって…
でもせっかくなので、中の椅子に座って休憩させていただいた。
きな粉のおはぎを2つ目の前に置かれたが、お腹が空いていなかったので1つしか食べることができなかった。
お接待を受けてばかりでも悪いので、お店で売っていたヤクルトを1本買った。
おばちゃんは、元々ヤクルトおばさんをやっているらしい。
お礼を言って、先を急ぐ。

10番から11番までは吉野川を渡って9kmあり、この頃の私にはまだ9kmは長かった…
まだ日差しが強く、昨日もお風呂に入っていないので、吉野川がきれいなら水浴びをしようと心に決めていた。
へろへろになりながら、吉野川を渡った。
残念ながら、水はそんなにきれいではなくヘドロのようなモノが所々浮かんでいたので水浴びは断念した。
それにしても、川を渡るときの橋が狭い沈下橋のような割には、車の交通量が多かった。
車が通ると歩行者は橋げたに上がらないと通れないくらいの狭さだったので、余計に面倒臭く感じた。
何とか川も渡り、右手に小さなお城を望みながら11番藤井寺のほうへてくてくと向かう。
192号線沿いに出た頃には、すっかり日が傾いていた。
でも、なんとか鴨の湯まで到着してお風呂に入りたいと思っていた。
国道沿いのスーパーで今晩の夕食を調達して外に出たとき、
「ご苦労様ですー!頑張ってください!」
と、お兄さんから缶コーヒーとお茶のお接待を受けました。
お兄さん、ありがとう!

ふらふらになりながら、鴨の湯に6時半頃に到着。すでに真っ暗。
ここは、徳島の善根宿で最高の場所だと言われている。
屋根と四方の壁に囲まれたきちんとしたこぎれいな小屋が2個あり、洗濯機・乾燥機、無料のレンタル自転車までお遍路さんのために置いてある。
全てこの町内のボランティアの方々や鴨の湯の職員さんたちが、お遍路さんのために管理してくれている。ありがとうございます。
しかし残念ながら、鴨の湯は水曜日が定休日になっていた!
お風呂に入れなくてがっかりしたが、畳の上で寝れるのはうれしかった。


私が到着したときには、バイクで日本一周をしている男の子1人と他に歩きのお遍路さんが2人、大きい方の小屋にいた。
もう一つの小屋が、今晩は女用になっているみたいだった。
歩きの女の子1人が既に荷物だけ置いて、丁度食事に出ていたところだった。
しばらくすると、近所の民宿で泊まっていた白人の歩き遍路の男の子が小屋に遊びに来た。
食事に出ていた女の子が戻ってきて、みんなで仲良くこの先の情報交換を始めた。
私は、疲れていたので輪には交じらず、話だけを聞いていた。
白人の男の子が後3日で遍路が終るのでこれあげる、と言って例の「野宿リスト」を女の子にあげていた。
これが私の初めての「野宿リスト」との出会いだった。
コンビニもなかったので、コピーもできず、少しだけ内容を地図に写させてもらった。
テントもあるし、このリストが無くてもなんとかなるだろう、と思って。

その夜は、安心して熟睡できた。
みんなの存在と柔らかい畳が、本当に有難かった…
今日出会った全ての方たちに幸あれ。

2日目 歩行距離 約23km
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