スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

9月30日(火) 8日目 宿 (橋本屋旅館本館)

今日も雨は降り続く。
早々に「ホテルわしの里」さんを出発し、先に進む。
ここでの滞在はさんざんだったが、お陰でポンチョも両面乾いていた。

国道195号線をてくてく道の駅わじきに向かって歩く。
しばらく歩いてようやく小さな道の駅が見えてきたが、朝早くてまだ何も開いていなかった。
ここを過ぎ、へんろ道のほうへ分岐する入り口付近に遍路小屋が一つ建っている。
昨日私が宿泊しようと予定していた場所だ。
ここには残念ながら、「宿泊はご遠慮ください」の紙が貼ってあった。
無理してここまで来なくて良かった…

休憩はさせていただいた。ありがとうございました。
もうこの頃には、山道はいやだ、という感情が芽生えていたのだが、遍路として新しい国道を通るのも納得がいかなかったので、結局23番平等寺へ抜ける大根峠に向けて出発した。

最初は民家の横を通っている細い道を過ぎていく。
そしてだんだんと山のなかに入っていった。
ここの峠は標高200mくらいなので、たいしてきつくはなかった。
国道を通るより、景色も良いし、やっぱり山道を通ってよかった、なんて都合のいいことまで思ったりした。
遍路は、こういうことの繰り返しだ。
最初は嫌だ、行きたくない、なんて思っていてもやはり行ってみると、その過程が苦しくても辛くても、結局「行ってよかった」と思えるのだ。
それがあるから、つい峠のへんろ道を歩いてしまう。
特に山には秋とは言え、まだ様々な花が咲いていた。
それらを愛でながらしんどくても歩いていくほうが、国道を通り車を呪いながら歩くよりもずっと良かった。

なんだかんだで峠を越え、また集落に出、平等寺に辿り着いた。

22番札所 平等寺 10.9km
ここはとてもこじんまりとしたお寺だった。
あんまり記憶にもない。
お参りを済ませて、先に進む。

平等寺を出発すると、ここからしばらくずーっとアスファルトの道が続く。
発心の道場、阿波の国もそろそろ佳境に差し掛かった。

しばらく歩くと、国道55号線に合流する。
山道もしんどいが、国道歩きは嫌いだ。
ひどい場所では自分と1m離れていない場所を大きなトラックがすごい音を立てて通過する。
特にこんな雨の日は、水しぶきも受け鬱になる。
今晩は早めに切り上げて、弥谷観音前の東屋で休もうと決めていた。
55号線の釘打(かねうち)トンネルを抜けると、右側に弥谷観音へ向かう橋があった。
だが、目の前に釘打遍路小屋があるので、そこを見てからにしようと思った。

どうせいつものように誰もいないと思い小屋に入ると、なんと先客がいた。
初めてのことだったので、少々驚いた。
向こうも他に誰か来るなんて思っていなかったのだろう。
ひげをサンタクロースのように生やしたおじいさんで、遍路3週目をしておられるそうだ。
自炊道具もきちんと持っている。
「以前はひげをちゃんと剃っていたんだが、地元に人にあれこれ聞かれるのが面倒くさくなってね。
こうしてひげを伸ばしたら、誰も寄ってこなくなったよ。
あっはっは。」
と、言いながら遍路小屋のベンチの上で正座をして文庫本を読んでおられた。
(後に、これが私の発心の理由の一つとなった「竜馬が行く」だということがわかった。)
とても礼儀正しい方で、私はこの優しい目をしたおじいさんが好きになった。
私も野宿だと言うと、
「それだったら、ここがいいよ。トイレは700mくらい行ったところになるけどね。弥谷観音の東屋は、壁がなくて大変だよ。水ももう汲んできたし、分けてあげる。」
と、温かい言葉をかけてくれた。
お言葉に甘えようかな、と思ったが、やはりトイレは気になる。
やはり外でするよりは、あるんだったらトイレに行きたいと思う。
700mって、夜にトイレに行きたくなったら遠いな…
とりあえず、弥谷観音のトイレ見てきます、と言って荷物だけ遍路小屋に置かしてもらって雨の中一人歩いていった。

国道を渡り、ダムのようなものの上にかかっている大きな橋を渡る。
重い荷物を持たずに歩くのは久しぶりで、あまりの体の軽さにちょっとうれしくなった。
弥谷観音は、けっこう遠かった。
ようやく空っぽの駐車場が左に見えてきたその時、
ワン、ワン、ワン!
と、犬の声が聞こえて駐車場の東屋にいた犬が2匹しっぽをちぎれんばかりにふりながら駆けてきた。
赤い毛のちょっと小さな犬と、黒い毛のちょっと大きい犬。
黒い方は、片目に怪我をしているのか目ヤニがいっぱい溜まっていた。
とにかくその犬たちに誘導されて、駐車場の東屋まで行く。
二匹の犬たちは、本当に人懐っこかった。
008.jpg
この赤毛のチビは、とにかくお腹がすいているのか構ってもらいたくって膝に飛びついたりしていたが、お兄ちゃんだろう黒犬のほうは、じっと触ってもらえるのを待っていた。
かろうじて頭陀袋に入っていた昼ごはん用のシリアルをやると、二匹とも飛びつくように貪り食っていた。

トイレを見たり犬をなでたりしていると、車が一台やってきた。
運転手はどうやら弥谷観音の関係者らしかった。
この犬たちはいつからここにいるんですか、と尋ねると、
「2-3週間前からかなー。時々誰かがエサをやってるみたいだけどねー。」
と、ひとごとのような返事が返ってきた。

誰がこんなかわいい犬たちをここに置き去りにしたんだろう。
確かに栄養状態は悪くなさそうだけど、こんな所に2匹野放しでいたらいつか絶対のたれ死んでしまうんじゃないだろうか…
やばい。
放っておけない…

携帯を幸い持っていたので、インターネットにアクセスして徳島に動物愛護団体で保護も行っているところはないか探した。
時間はかかったが、1件ヒットした。
HEART(ハート)徳島
という団体だった。
早速電話してみるが、留守番電話。
とりあえず留守電にメッセージと携帯番号を残し、連絡してもらえるよう頼んだ。

もうこれは、ここで夜を過ごすしかないだろう、そう思い荷物を取りにおじいさんのいる遍路小屋へ戻った。
途中まで2匹の犬は私の側にぴったり付いてきていたが、橋の手前でピタッと足が止まった。
私が橋を渡って行くのをじっと見ている。
小屋ではおじいさんが相変わらず正座で本を読み続けていた。
犬のことを話し、やはり弥谷観音で今晩は寝ることを伝える。
お邪魔しました、と言って荷物を担いで橋を渡ると、そこにはもう二匹はいなかった。
歩きながら、ピーッと口笛を吹くと二匹がまたすぐに駆けてやってきた。
とてもうれしそうだ。
この二匹は野良のまま置くには、勿体無いくらい良い性格をしている。
HEARTの人が迎えに来てくれることを祈った。

また駐車場の東屋へ二匹と戻る。
ここは蚊が多い。
蚊取り線香を持っていないので、参拝用線香をいくつか立てるが、すぐに消える。
でも蚊くらいなら、今まででもいた。
なんとかなるだろう。
荷物からチョコレート味以外のカロリーメイトを出して、犬たちにあげる。
スナックなんて食料にしてはだめだろうが、今は固形食糧しか持っていない。
最後に食べたのは今日中ではないだろう食べっぷりだ。
しばらく犬をなで寝床の準備をしようとしたとき、赤犬の体に大量のマダニが這いずり回っているのを発見してしまった。
1匹2匹なんてかわいいものじゃなく、うじゃうじゃと…
しかも皮膚に喰らい付いているのは1固体のみで、他はフリーダム。
これには頭の回線がショートし、これからの道のりで寝袋やテントに払っても払っても隠れているダニの這いずる姿が頭の中に巡った。
紅斑病、野兎病、ライム病…これはマズイ。
ノミくらいなら我慢できるが、目視できるサイズのダニが何十匹もウヨウヨ。
ここにはもう泊まれなかった。
ごめん、お前たち!一緒に寝れなくて、ごめんね!
断腸の思いで、またおじいさんの遍路小屋に帰った…

もうすっかり野宿をする気力がなくなっていたので、今日も不本意ながら宿に泊まることにしていた。
夕方で申し訳なかったが、遍路小屋まで「橋本屋旅館」さんが迎えにきてくれた。
「橋本屋旅館」の女将さん、本当にありがとうございました!!!
おじいさんに理由とお別れをつげると、おじいさんが小屋の外に出て見送ってくれた。
おじいさん、ありがとう。貴方が探しているもの、求めているものがちゃんと手に入ることを祈っています。

「橋本屋旅館」さんは江戸時代からこの旧土佐街道で創業されており、由岐の町で一番古いお宿だった。
宿の古さがとても心地よかった。
雰囲気も女将さんの対応も良く、とても心地よく過ごさせてもらった。
今晩は、外人のおばあさんが宿泊しているらしい。言葉が通じなくて大変だと女将さんが言っていた。
お風呂から上がると、そのおばあさんに女将さんが濡れた靴に新聞を入れるように言っていた。
おばあさんに英語で伝えてあげた。

温かい布団の中でまどろんでいると、HEARTの代表、スーザンさんから電話がかかってきた。
事情と、あの犬たちの状況を説明すると、台風が近づいていることもあり、可能ならば明日にでも引き取りに行ってくれると言ってくれた。
ただ、HEARTには保護施設はなく、個人にボランティアで面倒を見てもらっていて、そこも満員状態で大変だ、徳島県は動物愛護の精神がひどく遅れている、と嘆いていた。
確かに、徳島で野犬や可哀想な飼われ方をしている犬を沢山みた。
悲しい光景だった。
だが2匹の子犬に関してはとりあえず、良かった。
彼らの人生はこれからも困難だろうけど、とりあえず屋根と壁のある所に住め、ご飯はきちんと食べられる。

***彼らは、現在もHEARTのボランティアの方の家で里親を待っています。私もアパート暮らしでなければ、引き取りたいのですが現状はそうもいきません。救いの手を差し伸べていただける方がいらっしゃるのであれば、是非HEARTのサイトを覗いてみてください。ここに掲載されている「ハチパチ」と「ダイキチ」が弥谷観音から保護された犬です。

遍路小屋を管理してくださる地元の皆様、小さな命を救おうと頑張ってくださっているHEART徳島のボランティアの皆さん、本当にありがとうございます。
一生懸命生きている全ての優しい命に、光が宿りますように。

8日目 歩行距離 18km
スポンサーサイト

コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

登録サイト一覧 次のサイト 前のサイト 登録 ランダム

個人サイト検索 あったかNAVI

個人ブログ リンク集 Blo-Lin

Powered by FC2 Blog

FC2Ad


Copyright © 同行二人: 四国歩き遍路 ‐テントとお宿と時々仲間‐ All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。