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10月2日(木)10日目 野宿(白浜ビーチでテント泊)

そして陽がのぼり、猫と一緒の朝がきた。
今日も晴れ。ありがたい。

猫と朝ごはんを食べていると、上からおばちゃんが降りてきた。
「あら、お遍路さん?猫も連れているの!?」
と、驚かれてしまった。
しばらくいろいろな話をした。
「この上にある家の猫が最近死んだらしいから、この猫を飼ってくれるか聞いてみたら?」
と言われたので、準備が整った後にその家を訪ねてみた。
残念ながら、
「今取り込み中なので、後にしてください。」
と門前払いをくらったので、一言謝ってから猫と一緒に出発する。

アンドレは1時間ほど前に出発したと電話がかかってきていた。
今日は気兼ねせず、猫とのんびり歩くことにした。
朝の間はずっとバッグの中でゆらゆら揺られながらうとうとしていた猫も、午後になるとごそごそし始めた。
アンドレに貸してもらったバッグが首に食い込んで痛いので、リュックサックのようなものを腹側に背負えないだろうか、と歩きながらずっと考え始めた。
今日はほとんど国道を歩くことになっているので、ごそごそされたり肩の上に乗られると恐い。
海陽町は少し大きめの町なので、何かあるだろうと思いながら進んだ。

なんとか旧海南町に到着し、まずお馴染みのホームセンター、コーナンさんで念願の耳栓を買った。
ペットコーナーを覗いてみたが、よく見るリュックサックのようなペットバッグは無かったのであきらめた。
店などに入るときでも、たいてい猫は大人しくバッグで寝ていることが多いので助かる。
耳栓をレジで支払っているときも、物音一つ立てずに寝ていてくれた。
コーナンを出てしばらくして川を渡り、国道沿いのピア海部に到着。
ここは、一応この辺では一番大きなショッピングセンターらしいので何かあるだろうと思った。
店に入ると、ペットショップのようなものは無い。
がっかりして出て行こうとしたが、かばん屋さんが目に付いた。
…普通のリュックサックを代用できないだろうか?と思い、覗いてみると黒い小さなリュックサックがあったのでそれをとりあえず買ってみた。
軒下にベンチがあったので、そこで猫と休んだ。
ふと横のベンチに目を遣ると、お遍路さんらしき人物が一人座っており、地元の人からお接待を受けていた。
そのおじいさんとおばあさんが去ると、そのお遍路さんが私のほうへやってきたので挨拶や簡単な遍路話や猫の話をした。
快活なおじさんだった。
今日は夜中まで歩いて一気に室戸まで行く、と言っていた。
すごいなー、と思いながらも、気をつけてください、と彼を見送ってお別れ。
また猫と歩き出す。

今日は暑い。
10月も2日だというのに、日中の気温は25度を越える夏日である。
猫もこの頃になると、全く大人しくバッグの中に納まっていてくれない。
新しく買った黒のバッグなど中に座りもしなかったので、諦めてまたアンドレに借りたバッグを使っていたが、それでも中にいたがらない。
先に進まなければならない焦燥感と、猫を拾ってしまった責任感との狭間で、正直イライラしてしまった。
一旦猫をバッグに詰め込んで歩き始めたが、しばらくしてハッと、もしかして中が暑いんじゃ…とバカのようにようやく気づいた。
実際手を入れてみると、直射日光にさらされているバッグの中はかなり気温が高くなっていた。
申し訳なくなった。
仕方が無い、休憩をとりながらゆっくり行こう、と腹をくくった。
そして、国道を渡り安全そうな木陰に腰を下ろして猫と休憩すると、猫は私のももの上で爆睡し始めた。
011.jpg
やっぱり暑かったんだ…ごめんね。

そこからは、自分の菅笠を猫のバッグの前にかざして日よけを作りながら歩いた。
すると、猫は昨日のようにバッグに入ってずっと寝ていた。

今晩は、サーフィンで何度か訪れたことのある生見ビーチで野宿をしようと決めていた。
あそこならサーファーしかいないので安全だし、なにより屋外に温水シャワーがある。
先ほど電話で話したアンドレも、生見の民宿に泊まると言っていた。
よし、生見まで後6kmほど、頑張るぞ!

菅笠が自分の頭にないというのは、暑い。
太陽は相変わらずじりじりと照りつける。

旧宍喰町にある道の駅宍喰温泉前を通った。
ここは、温泉もあり宿泊もできるので野宿遍路にとってはありがたい場所らしい。横に建っているホテルリビエラししくいもきれいだった。
左には太陽に照らされた、美しい南四国の海が広がっていた。
猫がいる私は、車が入ってくる道の駅よりもビーチに泊まりたかったので、先を進んだ。

宍喰を過ぎ、トンネルを抜けるとそこは高知だった。
やっと、徳島が終った。
「竜馬が行く」の現地を自分の目で見たかった私は、高知に憧れを持っていた。
早く高知に着きたかった。
高知の海が見たかった。
ようやくその一歩を踏み出した。

陽が傾きかけた頃生見の手前、白浜海岸に到着。
後1kmほどで生見に着く。
ここで猫を外に置いてトイレ休憩をした。
外に出るとちゃんと猫は塀の上で待っていたが、ここから動こうとしない。
私は先の生見まで行きたいのに…
ドスの利いたニャーニャーで、もう動きたくない、とでも抵抗している。
はぁ、とため息をつき、今晩は白浜で宿泊することに決めた。
幸いトイレの裏は芝生になっており、テント設営には最高だった。
今日ようやく買った耳栓は、ここではそんなに必要なさそうだった。

荷物を下ろし、ふと携帯を見ると登録されていない番号から3回着信があり、最後は留守番電話にメッセージが入っていた。
会社からの連絡でも入っていたのだろうか、と思いメッセージを再生してみると、昨晩アンドレがお世話になった「内妻荘」さんのご主人からだった。
???、アンドレが忘れ物でもしたのだろうか、と思い電話をした。
「こんばんは。
猫の飼い主を見つけたんで、今日一日中電話してたんですよ。
今どこですか?」
と、開口一番言われた。
とっさに何を言っているのか分からなかった。すみません、歩いてて着信に気づかなくて…今はもう白浜海岸まで来てしまいました、と伝えると、
「そうですか。今晩引取りに行きますが、どうですか?」
え?本当にこいつを飼ってくれる人が見つかったんですか?ここまで迎えに来てくれるんですか?
「だって、そのままじゃちゃんと歩けないでしょう。8時を過ぎると思いますが、いいですか?」
と、聞かれたので喜んではい、ありがとうございます!と言った。

電話を切った後、うれしさと共に急に寂しさが襲ってきた。
寝袋の上で横たわっていた私のわき腹にもたれるように、猫は丸くなっていた。
こいつと別れるのか…
たった2日しか一緒にいなかったけれど、今ではとても大きく大切な存在になっていた。
こいつと一緒に寝る夜が楽しみになっていた。
でも、猫が人間と一緒に野宿しながら旅をするなんて、過酷すぎる。
高知では野宿場所が多いが、その先はそうではない、とも聞いていた。
新しい家で可愛がってくれる人がいるなら、それがいいんだ、と思い、迎えが来るまでの最後の時間を一緒にまどろんで過ごした。

9時近くに携帯に着信があった。
「今、海岸に着きました。」
外に出ると、ご主人がトイレの横に既に立っていた。
猫を渡して、ありがとうございます、どうぞよろしくおねがいします、と頭を下げた。
ご主人は、猫を腕に抱えてあっさりと行ってしまった。
元気で一生懸命愛されて生きるんだよ、と心から祈った。
ご主人、本当にありがとうございました!

テントに戻り、事の顛末をアンドレに電話で報告する。
自分の事のように喜んでくれた。
かばんをきちんと洗って返さないと…

そしてお杖さんと二人だけの夜が更けた。

内妻荘さん、本当に本当にありがとうございました。
猫も、元気でいることを願っています。

10日目 歩行距離 20km 徳島最後の日
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