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11月5日(水) 29日目 野宿(ひがしすくも駅駅舎)

道の駅大月での夜が明けた。
山裾でもあったので、寒かった。
35番清滝寺を回った夜に、みーちゃんがいた東屋で一緒に夜を過ごした神奈川からの女の子自転車遍路さんからもらった携帯カイロを初めて使わせてもらった。
貼るタイプなのでTシャツの背中に貼って寝たが、かなり温かかった。
今更だけど、ありがとう!
堀○君は、最初道の駅のベンチで寝ていたらしいが、朝方本当に寒くて我慢できなくなり休憩所に入れてもらったらしい。
休憩所にいた2人のうち一人はテントを持っていたらしく、堀○君に場所を譲ってくれたと言っていた。
昨晩は、「職業遍路が…」などと書いたが、やっぱり良い人たちだったみたいだ。
人は本当に見かけや生業で判断してはいけない、と心から思い、また自分を戒める。
天気は快晴。
まるで今日これから起こる素晴らしい出来事を暗示しているかのようだった。

木○さん、堀○君とそれぞれ別々に出発する。
仲間と一緒に歩けば、距離は少なく早く目的地に到着するように感じるが、やはり一人の時に見ていたものや感じていたものを沢山見逃してしまう。
だから、基本は一人でお大師様と同行二人で歩いた。

ちょっと歩くと大月の集落に到着した。
この集落の端にもしんきん庵大月(弘見)という休憩所があるが、ここは本当に集落内で道路のすぐわきにあり、宿泊には向かないと思った。
集落を抜けしばらくすると、海岸が近くなってきた。
福良川手前にコメリがあったので、そこで携帯カイロを10個と猫のカリカリを買った。
荷物が重くなるのはいやだったが、夜は冷え始めていた。
寒いと眠れない。
背に腹は代えられない。

昼前には道の駅すくもに到着した。
ここの遍路小屋はすごかった。
道の駅の南端に、やぐらのように高くそびえたっていた。
窓にはすだれも付いていて、快適そうだった。
道の駅裏には、大きな公園といくつかの大きな屋根付きの建物があって、ここは野宿遍路にとっては本当に良い場所だと思った。
既に木○さんが到着しており、洗濯をしていた。

道の駅には、いくつも食堂があり、猫たちが沢山たむろしていた。
食堂の人たちがえさをやっているようだ。
みんな人懐っこい。
食堂前に沢山置いてあるピクニックテーブルで魚を肴にしてお酒を飲んでいる地元のおじさんたちも、時々猫たちに魚をやっている。
お昼をそこで食べるつもりはなかったのだが、猫たちに構って欲しくてカツヲのたたき定食を頼んでしまった。
魚を食べ始めると、計算通りわらわらと寄って来てくれた。
カリカリと時々カツヲの切れ端をやると、喜んで食べてくれた。
そのうちの一匹が、自分の家で君臨している猫の5年前にそっくりだったので、思わずカシャ。
042.jpg

地元のおじさんたちとの話も弾み、とても楽しい時間が過ぎた。
やっぱり猫が沢山いる場所は、良い人が集まっている。

木○さんが菅笠を被って歩いているのを見た。
ここに荷物を置いて出発したらしい。
菅笠を被っているのをここで初めて見た。
堀○君も道の駅に到着したようなので、そろそろ猫ちゃんとおじさん達とのお別れの時間がきた。
本当に良い人たちばかりだった。
楽しい時間と温かい心を、本当にありがとうございました。
みなさんお元気で!

いよいよ宿毛の街に入った。
松田川を渡り、遍路道を探す。
しかし、川沿いの遍路道を歩くつもりがいつの間にか一本北にある大きな県道を歩いていた。
方向は間違っていないのだし、仕方がないのでこのまま39番札所に向かうことにした。

歩道のすぐ右側に、小さなたこ焼き屋さんがあった。
さっきカツヲたたき定食を食べたばかりで、お腹は全くすいていなかった。
素通りをしようとしたその瞬間、店の奥にある棚の上に置いてあるテレビを一人見ているおばあさんが目の端に映った。
何故かとても悲しそうに見えた。
いたたまれなくなり、少しでも助けになれれば、と10歩ほど通過していた足をたこ焼き屋さんに戻した。
おばあちゃんに育てられたような私は、年よりに弱い。
すみませーん、と胸の高さくらいの位置に着いている台の上にある窓ガラスに向かって言った。
「あらあらあら、お遍路さん。まー、いらっしゃい。」
と、おばあさんが椅子から腰を浮かせて窓に近づいて来てくれた。
「いくつにしましょうか。」
沢山買ってあげたかったが、お腹が空いてない上荷物として持ちたくなかったので、13個入りを頼んだ。
「はーい。今はお昼時間を過ぎちゃったから、焼きたてじゃなくてごめんね。」
お昼は焼き立てを作っているということは、お客さんは少なくないのかもしれない。
ちょっと安心した。
「この辺は、あまりお遍路さんは通らないのよ。だからたこ焼きを買ってくれるのは、本当に年に一回か二回くらい。」
たこ焼きをパックに入れながら、おばあさんは言っていた。
遍路道はこの県道の裏にあるので、私のように迷ってしまった遍路しか通らないのだろう。
「だからね、」
おばあさんは続けた。
「たこ焼きを買ってくれるお遍路さんには、何かの縁だと思ってこれを渡しているのよ。」
と、たこ焼き台の横に置いてあったカンカンから封筒を取り出した。
「本当に1年に1回か2回くらいしか会えないから、小銭をこの中に貯めてるのよ。持っていって。」
と、私にずっしりとしたその封筒を手渡した。
え、と思っている私に更に、
「はい、たこ焼き。これもお接待よ。」
と、たこ焼きの入ったビニール袋を手渡してくれた。
せめてたこ焼きのお代くらいは払わせてください、と言ったが受け取ってくれなかった。
そこで頭陀袋から納め札を取り出し、おばあさんの気持ちと一緒に最後まで回らせていただきます、と言って手渡した。
「ありがとう。頑張って最後まで回りなさいね。」
と、言ってくれた。
本当にありがとうございます、おばあさん。
おばあさんからいただいた小銭は、おばあさんの代わりにお寺に入れることにした。

深く頭を下げて、たこ焼き屋から足を先に進めた。
足が前に動くたびに、大粒の涙が後から後からぽろぽろと頬にこぼれ、先にある交差点の信号がかすんだ。
おばあさんの気持ちが嬉しくて、涙が止まらなかった。

2週間の暇の後、土佐久礼の駅に足を降ろした時からずっと感じていた私と四国を隔てる薄い壁。
以前会った一体感がなくなってしまった不安感。
それが、おばあさんの好意のおかげで一気に背中からズドン、と四国の地に根っこが通った。
また四国の一部になれた。
既に私は自分の為だけに88か所を回っているのではない、という実感が戻った。
道すがら出会った様々な四国の人々の幸せを願う旅でもあるのだ。
おばあさんを少しでも助ける為にたこ焼きを買おうとした私が、逆におばあさんに助けられた。
おばあさん、本当にありがとうございました。
いつまでもお元気で頑張ってください。

交差点の歩道脇で食べたたこ焼きに、涙がこぼれてしょっぱい味がした。

39番札所、延光寺までは、ほとんど1本の道を行って折り返してまた宿毛に戻るルートだ。
道の駅に重い荷物を置いてきた木○さんは賢いなと思ったが、道の駅までは戻りたくなかったのでバックパックを背負って歩いて行った。
途中にあった水を張った浅い池のような場所で、ハリガネムシがウネウネと泳いでいるのを見た。
ハリガネムシなんて初めて見たので、貴重な体験だった。
延光寺へ向かう遍路道は、途中で国道から分岐しなだらかな山道に入る。

39番札所 延光寺 約72km
いつもの参拝の際に、たこ焼き屋さんのおばあちゃんからいただいた小銭の3分の1ほどをさい銭箱に入れた。
四国の人々、動物、自然への光を祈った。
そして、おばあさんの為に納経所でお守りを1つ買った。
宿毛にどうせ戻るのだから、渡そうと思ったのだ。
普段は、お接待のお返しなんてしないものだろうが、おばあさんにはどうしても私の感謝の気持ちを伝えたいと思ったのだ。
因みに、延光寺にも通夜堂があるらしい。

延光寺でまた堀○君と出会った。
そして今度は一緒に宿毛まで歩いて戻ることにした。
堀○くんは、とても礼儀正しい楽しい男の子だった。
延光寺から国道に抜ける山道の中で、2人とも同じ根っこに引っ掛かってこけそうになっていたことが判明して、二人で笑いあった。
国道を宿毛の街に向けてふたりでおしゃべりをしながら歩いていると、
「さっき歩いているのが見えたんで待ってたのよ。これどうぞ。」
と、おばさんが赤飯の大きなおにぎりを2個渡してくれた。
ありがとうございます、と二人でお礼を言った。
おにぎりは後で1つずつ分けることにした。
しばらく歩いて、道の左側にあるおかざき商店で夕飯の買い物を二人でした。
私はいつものように地元の豆腐1丁と野菜、そして明日の朝用に野菜ジュースとおにぎりを買った。
レジで精算していると、おじさんが、
「これ焼き立てだから、持って行って。」
と、焼き芋を手渡してくれた。
ありがとうございます。

いよいよ夕闇が濃くなってきた。
二人で楽しく歩いていると、本当にあっという間に目的地に着いた。
堀○くんは、ひがしすくも駅舎で野宿をすると言っていた。
私は川辺でテントを張ろうと思っていたので、堀○くんと駅舎で別れた。
だが、いざ川辺に降りてみると全くペグをさせるような土壌ではなかった。
私のテントは、自立するタイプのテントではないので、川辺野宿は諦めざるをえなかった。
そして、ひがしすくも駅の駅舎に戻り、堀○くんとベンチの上で一晩を明かすことにした。
堀○くんは、四国の立ち寄り風呂情報の本を持っていたのでそれを参考にさせてもらったり、この先の通夜堂情報をもらったりした。
お返しに私は香川の讃岐うどん情報を堀○くんに教えた。
話しているうちに気づいたのだが、私が岩本寺で出会った本格装備の茨城から来た宮○君に、堀○くんも出会っていたらしい。
二人で宮○君の装備のすごさに意気投合したり、宮○君お勧めの58番仙遊寺に二人とも泊まる予定であることに笑い合ったりして楽しい時間を過ごした。

高知くろしお鉄道宿毛線の中村方面行最終電車は9時09分。
それが終わってから、二人で寝袋を広げてカイロを装備して眠った。
ベンチの上は、以外に快適なものだ。
窓の外に、夜の帳が下り星たちがきらめいていた。
明日の朝、たこ焼き屋のおばあさんにお守りを持っていこう。
今日出会ったすべての人や動物たちに、光を。

通算29日目 歩行距離28.5km
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